ひだかのかんづめ

アラサーの感想詰め合わせ。

ファイアーエムブレムエンゲージを振り返る。

2023年1月20日に発売されたファイアーエムブレムエンゲージ、発売日に買って昨日ようやっとクリアしたのでいっちょ感想やらなんやらまとめておきやす。

 

<良かった点>

個人的に完璧に近い戦闘回り、難易度

 現状でのシリーズの集大成という印象で、ブレイクやチェイン、エンゲージ周りの新要素もさることながら、【一々敵ユニットにカーソルを合わせて確認しなくても、味方ユニットの射程圏内に入れた時点で敵HPをどれだけ削れるかが表示される】、【敵ターンスキップ可能】など細かいところだけれども確かな快適さを感じるブラッシュアップも個人的に超高評価。

 今回難易度ハード・クラシックでプレイしたけれども、今作はSRPGとしてかなりしっかり手強さを感じることができるのでガチの初心者でもなければハードでスタートがオススメ。なんなら筆者は2章にして1回ゲームオーバーになった(縛りはあったけど)。

 

・新規も古参も楽しい指輪システム

 今作の目玉要素である紋章士とのエンゲージシステムは、購入前の時点だと正直ちょっと否定的スタンスでいたのだけども、やってみたら今回限り(っぽい)のが惜しいくらいに良システムだった。

 まず単純に紋章士たちそのものが過去作の主人公(級)ズなので過去作プレイ済だとリメイクされてバリバリ喋る彼らの姿を見られるだけで楽しい。筆者はGBA封印の剣でFEデビューし、烈火の剣に馬鹿みたいにハマり、聖魔の光石で最強兄妹に恐れ慄き、蒼炎の軌跡で初3DFEを経験し、新・暗黒竜紋章の謎で元祖に触れ、風花雪月でエガちゃんはすはすしてきた人間であるからして、マルス、ロイ、リンディス、アイク、エイリーク、ベレトは思い入れも一塩だ。特にリンディスは当時ガチ恋だったので最高だ。ありがとう製作陣。

 もちろん彼らは見た目だけの存在ではなくて、それぞれが原作由来のスキルや武器を持っており、エンゲージすることで彼らの指輪を装備したユニットが専用の衣装に変身する。この状態で使える必殺技のようなスキルはどれも非常に強力で、【味方を最大4体同時に再行動させられる】、【味方ユニット全員同時に回復(ただし自分は瀕死になる)】など1手で戦況を覆すことも可能なぶっ壊れにも感じられる。

 が、今作の難易度はどう考えてもこのぶっ壊れ前提なのでむしろガンガン使わなければ普通に苦戦するというか人が死ぬのである。それが顕著なのが第4章の花の風車村で、新たに入手する指輪のチュートリアルも兼ねたマップなのだが、エンゲージを出し惜しむと普通に味方が死ぬ。どうやっても死ぬ。絶対にエンゲージさせるという製作陣のバランス調整の極致を垣間見れるので是非一度エンゲージ出し惜しんでみてほしい。

死ぬぞ。

 また、この紋章士の指輪は入手するとその下位互換(大嘘)である絆の指輪がガチャ方式で生成可能になる。絆の指輪は主となる紋章士が登場した作品のキャラクターたちの指輪で、例えばロイの指輪を手に入れると、封印の剣の登場キャラクター【リリーナ】、【ルトガー】、【ディーク】などの指輪が生成できるようになる。言わずもがな過去作をプレイしていれば紋章士に選ばれてはいないものの好きだったキャラの指輪が手に入るので、ファンサービスとしては最高の部類で、筆者も新しい紋章士の指輪を手に入れるたびに狂ったように指輪ガチャを回していた。

 ちなみにちらほらぶっ壊れスキル持ちの絆の指輪があるので、そういった意味でも狂ったように回しがちなのだが。

 

・キャラクター造形良すぎ問題

 今作ではイラストレーターのMika Pikazoさんがキャラクターデザインに起用されているわけだが、この方の他の作品を見たことがある方はご存知のことだろうが、めちゃくちゃに華のあるイラストを描かれる作家さんだ。センスの塊みたいな鮮やかな色使いで視覚をぶん殴ってくる感じの作風なのだが、今作のキャラクターモデリングはこのMika Pikazoさんのイラストをそのまま落とし込んだかのような仕上がりになっていて正直トレーラーの時点でかなり驚いたものだ。このキャラモデルの高クオリティはそのままストーリーの演出や戦闘アニメーションにも表れており、SRPGのがっかり要素個人的上位のアドベンチャーパートと戦闘パートのキャラクターグラフィック乖離問題は今作においては一切無い。今作の戦闘アニメマジで見応えあるのでぜひ見てほしい。GBA時代のめちゃくちゃ動くドットアニメーションと同程度に動く3Dがついに来たよ。

 

・戦闘後の散策

 今作では戦闘後、実際に戦闘が行われたマップを主人公を操作して歩き回ることができるようになっている。これが中々新鮮で、「これが散々手こずらせてきた弓砲台か」「ここあそこで立てこもった砦じゃん!」といった感じで戦闘パートとは違った目線で見られるのだ。また、今作の外伝の一部は過去作のリメイクマップも登場するので、そこの散策はさらに見応えがあってなおのこと楽しかった。

 強いて言えばほぼ毎戦闘後に差し込まれるので、任意にしてくれてたら文句なしだったなと……流石に一回観光したらもういいから……。

 

<悪かった点>

・ソラネルの要素ほぼ全て。

 過去作でいうところの拠点であるソラネルにはまぁ色んな要素が詰め込まれているのである。武器屋・道具屋・アクセサリー屋・錬成屋のようなお店もあれば、牧場もあり、釣りもできるし料理も出来る。シューティングゲームリズムゲームもできる。

すごい!やったね!……とは、ならんのよ。

 お店は良い。ほぼ中心にまとまってるのでまだ許せる(ぶっちゃけこれすらもコマンドだけでいいのだが)。料理もまだ手間とメリットを天秤にかけた時にメリットが大きいので許せる。ちょっとロードが怠いだけだ。

 後ははっきり言って誰が求めた仕様なんだ?といった感じ。ことごとくテンポを阻害する要素にしか思えず、これに容量割くならシナリオをもうちょっとだけ増やして丁寧に話を運ぶべきではないのかとしか思えない。

 最初のうちはソラネル各地に落ちている落とし物も全部拾っていたし、筋肉体操(リズムゲーム)もやっていた。各地でさすらっている動物たちも次々保護していた。明らかに手抜きデザインの守り神とやらの世話だってした。その全てが只々虚無で早々にやめた。最終的に犬しかいなくなった牧場で武器素材を回収→料理食う→3回に1回だけ指輪を磨く、というルーチンに落ち着いたが、正直これすら面倒くさい。

 風花雪月よりは無視できる要素も多く、士官学校よりは全体的に狭いのでマシになったといえばそうなのだが、そもそも要らないのである。次回作にもこんな感じの拠点だったら流石にうんざりしそう。

 

・感情移入しづらいシナリオ

 今作のシナリオは割と王道路線で話が進む。各国を渡って伝説の指輪を集め、諸悪の根源たる邪竜を打倒する、というのが大まかなストーリーラインだが、細かくエピソードを見ていった時に起承転結の承が足りないまま話が進んでいる印象が強い。第3章あたりで話の展開をスッと受け入れることができたのなら凄いと思う。少なくとも筆者は「は?……は?」という感じだった。また、話の都合上仕方がないのかもしれないが主要人物たちの浅慮がすぎる面があまりにも多い。この主要人物たちが普通の少年少女だったり、腕一本でのし上がってきた荒くれ者だったりするのであれば多少考えが足りないのはわかるが、今作の主要人物は王族、それも王位継承権第一位の連中ばかりである。仮にも一国の主になろうという人物たちにしてはあまりにも礼を失した行動だったり、どう見ても罠である可能性が高いところに何の対策もなく赴き、あまつさえ罠に嵌るなど、苦境に立つべくして立たされるので「そらそうよ」となって何の感情移入もできない。物語後半ではそういった場面も少なくなり、普通にアツい王道のストーリーになっていくので、やりたい後半の展開に持っていくために前半の展開にしわ寄せが言っていたんだろうな、とわかるのだが、それにしたってもうちょい前半の話の繋ぎ方なんとかならんかったのかなぁ、という印象が拭えない。ホントに後半はグッと良くなったんだよ……。だから惜しいんだよ……。

 

<結論>

賛否両論語りはしたものの、プレイ後の筆者の心情としては圧倒的に賛が多数派だ。

めちゃくちゃに面白かった。やってきたFEの中だと間違いなく1,2を争う良作だと思う。今回購入したのはDLのスタンダード版だったけれど、これならDX版でも良かったなと思えるほどなので、折を見て衣装系以外のDLCにも手を出していきたいと思った。

購入するかどうかの基準は他にも多く言われているように風花雪月のような重厚な雰囲気を求める人は買わない方がよく、戦闘を重視する人ほど買った方がよい、という感じ。

本当に戦闘が楽しいFEなので出来るならぜひ手に取ってほしいなと思う。